映画に出てきた映画館で映画を見た

天草を舞台に作られた映画「のさりの島」を見ました。

「のさりの島」公式サイトより

映画『のさりの島』 公式サイト

映画『のさりの島』公式サイトです。

いま歩いてきた商店街、いま自分が座っている映画館がスクリーンの中に出てきて
自分も映画の中にいるかのような、なんとも不思議な感覚になりました。

映画の物語は若い男がオレオレ詐欺で金をだまし取ろうと
寂れた商店街で暮らす一人暮らしの高齢女性に電話をかけるところから始まります。
女性の孫はすでに他界していましたが、男を孫と信じているように装いました。
二人の“偽りの時”は静かに流れ、男は孫として振る舞ううちに、
冷たい社会を生き抜くためにまとってきた鎧を無意識のうちに脱ぎ始め、
純粋でやさしい人間性が姿を現わしてきます。
まやかしであっても、ありのままの自分を受け入れてくれる居場所をみつけた
男の心が変化していくさまが繊細に描かれ、
まるでドキュメンタリー映画を見ているようでした。

この映画のもう一つのテーマは人が減り、寂れていく地域です。
かつては賑やかだった商店街はシャッター通りとなり、人影はまばらです。
映画の中では人が減った天草がややもの悲しいトーンで描かれていましたが、
長く東京に住んでいた私には、今の天草が十分魅力的に映ります。

映画のタイトルの「のさり」とは天草に古くから伝わる言葉で、
いいことも悪いこともすべて天からの授かりものとして
前向きに受け入れるということだそうです。

「のさりの島」公式サイト <山本監督のコメント>
二人がついた嘘が、寂れた街のシャッターの向こうで、いつしか本当になる。
ふと訪れた天草でこの映画の話をしたところ、そこに居合わせた方がこう答えました。
「監督、そん話、天草だとあるかもしれんばい」
この映画は天草で撮らねばならない、そう心に決めた瞬間でした。

「のさり」の心が宿る天草で
「のさり」の心で生きていけたらすてきだな。

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この日、映画を見る前に銀天街にあるアマビズで打合せをしていたら、
なんと、山本起也(たつや)監督が!
天草応援ソングを50年以上歌い続けてきた「ざ・からいも」さんの
ミュージックビデオを商店街で撮影していたのだそうです。

右端が山本起也監督

映画終了後には
山本監督と出演俳優の吉澤健さんのトークショー、
そして「ざ・からいも」さんのプチコンサートも開かれました。
天草の自虐ネタで笑いをとりつつ、溢れんばかりの天草愛の歌。
会場は手拍子で盛り上がりました。

「ざ・からいも」のステージ

映画のなかで象徴的な役割を果たしていた釣銭箱、
山本監督が息子に渡してくれました。

主人公の男が釣銭を盗んだ釣銭箱を手に‥

図書館に置かれていた映画館のチラシを見てたまたま足を運んだのですが、
思いもよらない贅沢な1日となりました。
                          (後藤 千恵)

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