「無肥料、無農薬、大地任せの日向夏が最高においしい!」

今日は中井さんのミカン山で日向夏の収穫をしました。
本来は初夏に収穫の時期を迎えているのですが、手が回らず、そのままに。
今年は裏年で、中井さんが一度収穫してわずかに残っているかどうかとのことで、
わずかな期待とともに炎天下を避けて午後4時、作業開始!

小高い山の中腹から細い山道を10分ほどいくとミカン畑が現れました。
夏ミカンとおぼしき低木に大きな実が10個ほどなっていましたが
ボヨボヨで柔らかく、皮を剥ぐと案の定、スカスカ。
残念ながら、食べられるものではありません。

‥と、ボヨボヨのミカンの真ん中にカタツムリを発見!
なんだか、いい感じで納まっています。

ボヨボヨの実のそばには、目下成長中の硬い緑色の実がなっていました。
去年の実と今年の実が同じ木に実っているなんて、
初めて見る不思議な光景。

ネットで調べたら、夏ミカンは前の年になった実を収穫しないでおくと、
新しい実がなり、新旧“代々”の実が同じ木に同時に身をつけるのだそうです。
なので、「夏ダイダイ」と呼ばれるようになったのだとか‥。

古い実を落とさないのにはそれなりの理由があるんだろうという思いが
頭をよぎりましたが、素人的に考えれば、古い実はとったほうが
若い実に栄養がいくよね、というわけで、
次男と二人ですべての実を摘み取りました。

で、日向夏は? ふと上を見あげると、段々になった一つ上の畑に黄色い実が‥。
草がうっそうと生い茂るプチジャングルのような空間に足を踏み入れると
10本ほどのミカンの木に中身の詰まった重そうな黄色い実がたくさん!


手の届くところは剪定ばさみ、届かないところは高枝ばさみでチョキン。
結構、力のいる作業でしたが、次男も次第になれてきて、
高枝バサミで切ったミカンを片手でキャッチしたり、
地上に落とさず掴んだまま収穫したり、
ハッとか、ヨッとか言いながら、
ゲーム感覚であっという間に技?を磨いていきます。

収穫は全部で25個。見かけは悪いけれど、ずっしりと重い日向夏です。

今回、木が高く、上の方には収穫できないミカンが残ってしまいました。
そこでふと思い出したのが、島根県美郷町の取り組みです。
美郷町では、「100歳まで楽しめる畑づくり」に取り組んでいて、
果樹園の木々はカキ、キウイ、ハッサクなど、すべてがミニサイズ。
脚立にのぼらなくても、腰が曲がっても、
楽しく畑仕事ができるように工夫されています。
もともとは6メートルほどあった木を一度バッサリ切って誘引し、
小さなサイズにしたのだそうです。
「あません」でもこうした取り組み、やってみたいですねー。

(「身長150センチで脚立いらず」島根県美郷町Webより)
https://www.town.shimane-misato.lg.jp/misatoto/stories/001/

収穫した日向夏、見た目はちょっと残念な感じでしたが‥
中井さんから教えてもらった通り、外の皮をリンゴみたいに包丁でむいて、白い部分も合
わせて斜めにカットし、そのままいただくと‥
とてもジューシーでグレープフルーツがまろやかになったような、甘みを加えたグレープ
フルーツゼリーのような。失礼ながら、外見からは想像できないおいしさでびっくり!

この日向夏、中井さんが45年前に東京から天草に来て柑橘類の栽培を始めるとき、
市場で“手をあまりかけずに育つものを”ということで苗を購入し、
植えたものだと言います。
その後、肥料も農薬も使わず、草刈りをするだけだったそうです。
それで、こんなにおいしい実を実らせる大地の力! あっぱれです。

見栄えをよくしようとか、大きさを揃えようとか、
収量を増やそうとか、長く傷まないようにしようとか、
市場に「商品」として出そうと思うと
色々と+αのことをしなければならなくなりますが、
ただ美味しいもの、栄養のあるものを食べたいだけなら
大地の力を引き出すだけでいいんですね。    
                            (後藤 千恵)

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