初めて出会う野菜や果物
ヒユナ(バイアム)、ツルムラサキ、水前寺菜、スベリヒユ、ベル型ピーマン、
そして日向夏‥。
天草に来てから、初めて出会う野菜や果物が多くなりました。
ヒユナは中井さんの畑、ツルムラサキは松岡さんの畑に自生していたもので、
水前寺菜、スベリヒユ、ベル型ピーマンは馬場さんの自然農の畑で栽培されたもの、
そして日向夏は中井さんの山で採れたものです。
スーパーで買う野菜とは違って、それぞれしっかりとした味を感じます。
ネバネバしていたり、酸味があったり、苦みがあったり、個性があって面白いです。
このうちたとえばヒユナはバイアムとも呼ばれ、
背丈が一メートルほどにもなります。
中井さんの畑に自然と生えてきたのだそうです。
初めて見た時には正直、美味しそうな野菜には見えなかったのですが
ピーマンやさつま揚げ、ニンジンなどと一緒に炒めてみると
ほうれん草のようなアクが一切なく、
葉野菜としては初めてのまろやかな食感。
これなら、いくらでも食べられる!という感じでした。
ヒユナは熱帯アジアが原産、熱帯アジア諸国では古くから葉野菜として
身近な野菜の一つとして親しまれているそうです。
江戸時代から明治にかけて日本に入ってきたということで
カルシウムが豊富で鉄分もほうれん草の2倍以上あるのだとか‥。
これから気温上昇が続く日本での栽培に適した野菜になるかもしれません。
(このほかの野菜も栄養分やミネラルがとても豊富なのだそうで、
また改めてきちんと調べてみたいです。)
考えてみると、都会で口にする食べ物は、野菜にしても、果物にしても
種類が限られています。
こうした食材が大量生産、大量消費の市場で流通する「商品」の一つと
なっているからでしょう。
元来、植物は多様で、それぞれの土地や気候風土に適したものが育っているはずなのに。
「身土不二」(しんどふじ)
身体と土は切り離せない。
その土地でその季節に取れたものを食べるのが
身体に最もいいという考え方です。
地球上には人間が食べられる植物が多種多様に存在するのに
小麦、大麦、コメ、トウモロコシという4つの作物が「主食」と呼ばれ、
大量に消費されるようになったのは
穀物は軽くて保存がきき、貯蔵したり輸送したりできるので
富の蓄積に都合が良かったからだと
「食べものから学ぶ世界史」(岩波ジュニア新書)という本に書かれていました。
私たちは自分で食べ物を選んでいるようで
実は選ばされてきたと言えるのかもしれません。
地元で採れた新鮮で多様な食材を日々口にできるということは
この上なく贅沢で幸せなことなんだと思います。 (後藤 千恵)