”私”から”私たち”へ =「ツボ」①  偶然の導き(1)

私はいま天草で、「自然と共生し、人と人がつながりあって幸せに生きる“懐かしい未来”を拓く」ことを目標に掲げて日々、活動しています。そのために、コミュニティづくりに力を入れ、コモンズを広げて‥などと考えているのですが、「コミュニティ」という言葉も「コモンズ」という言葉も、どうも漠としていてつかみどころがありません。いまの時点で、私はそれを誰もがすっと理解できる明確なことばで説明できる力を持ち合わせていない、というのが正直なところです。

おそらくその答えは日々の実践の積み重ねの延長線上にじわじわと姿を現してくるものだと思います。そこで私はこれから天草での日々の実践についてご紹介しながら、その中で気づいたコミュニティやコモンズを広げていくための色々な「ツボ」について取り上げていきたいと思います。

◎「ツボ」 ① 偶然の導き(1)

いきなりツボが偶然の導きだと言われても、自分ではどうしようもないではないかと思われると思います。その通りですよね。でも、実際にこれからご紹介する実践は、ほんとうに偶然の導きが重なったのです。

始まりは一つの巨岩でした。縄文時代に思いを馳せていた私はある日、ネットで「ペトログリフが明かす超古代文明の起源」という本に出会い、購入しました。この本は、各地の古代巨石文明について紹介しているのですが、その中に私が活動の拠点としている天草市五和町の城河原地区にある「鬼の碁盤石」と呼ばれる石が紹介されていたのです(偶然の導き①)。

地元の方々はこのことをご存知なのかな。城河原地区にお住まいで自然公園のボランティアガイドなどをされているKさんに聞いてみると、すぐに一緒に現地に足を運んで下さいました。あたりは草がぼうぼうに生えて、道らしき道もなく、近寄るのも大変な場所です。何とか巨岩までたどりついたKさんは1メートル以上ある岩の上に這い上がりました。そして本で紹介されていた写真の通り、岩に深く刻まれた古代文字や、岩の側面のイルカのレリーフを自分の眼で確認したKさんは、「長かこと、ここに住んどるばってん、こぎゃんところにこぎゃんすごかもんがあったなんて誰も知らんやったぞ」ととても驚いた様子(カッパ伝説みたいなもので真実かどうかは未知ですが、ロマンは広がります‥)。巨岩の脇にはきれいなせせらぎが流れ、その下には滝、そして滝つぼ‥。足を踏み入れるとひんやりと空気が一変し、パワースポットのような神聖な力を感じます。Kさんは興奮した様子で「ここば公園にして周遊コースば造ったら城河原ん名所になっぞ‥」などと早くも地域づくりの夢を膨らませていました。(後藤千恵)

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